ライブレポート
初日に引き続き、雲ひとつない快晴に恵まれ、もはや初夏に近い気候となった、hide 20th memorial SUPER LIVE「SPIRITS」2日目。MCのCUTTが、「hideさんのイベントは必ず晴れるんですよ!」と語っていたが。空から会場がよく見えるように、hideが変わらぬやんちゃさで視界をさえぎる雲を蹴散らしている姿を想像すると、なんだかおかしい。
2日目のトップバッターはJ。「あの人に届くように、むちゃくちゃ盛り上がって行こうぜ!」と、ドライブ感ある「break」でハイテンションに幕を開けると、「よし、飛ばして行こう!」と「RECKLESS」を畳み込み、アッパーなチューンを矢継ぎ早に披露する。後半、会場がしっかり熱くなったところで、「色んな想いを抱えて僕もここに来まして、某バンドの代表としてもここに来ました。良かったら歌って下さい」と始まった曲は、LUNA SEA「TONIGHT」。恩人であるhideに届けるべく、自身のバンドを背負って力強く歌い上げるJ、声を重ねるオーディエンス。さらにhide「FLAME」のカバーを披露し、会場を大いに盛り上げる。トップバッターとして十分すぎるステージを見せたJは、感慨深げな表情で「Thank you hide、Stay Free hide!」と空に向けてメッセージを送り、ステージを後にした。
J
SE「BE MY BABY」と熱い手拍子に迎えられ、特攻服姿で登場した氣志團は、派手なパフォーマンスの「デリケートにキスして」で始まる、賑やかなステージで会場を沸かせた。「俺たちはhideさんに直接会えなかった人間。そして、世の中で一番会いたい人がhideさんです。ジャンルにとらわれず、いつもアンテナ高く張ってたhideさん。俺たちも同じような気持ちで『氣志團万博』をやってて、それが俺たちの受け継いだhideイズムだと思ってます」と綾小路 翔(Vo)が語り、「今日だけは許して」とhide with Spread Beaver「ROCKET DIVE」のカバーを披露。言葉では伝えきれない、hideへの熱い想いを歌と演奏で届けた。代表曲「One Night Carnival」を披露した後は、「10年も前の曲引っ張り出して、何やってんだ、俺は!」と自虐トークから、“恋ダンス”をオマージュした「One Night Carnival 2018」を披露し、爆笑を生む。独特な愛情表現ではあるが、hideへの想いはきっと伝わったはず。
氣志團
「それぞれの想いをあの人に届けて行こうぜ、思い切り行こう!」と始まった、「AURORA」のヘヴィなサウンドとTAKA(Vo)の伸びやかなハイトーンで魅了したdefspiral。「大切なのは今日を最高の一日にすること。やれますか?」と尋ねると、歓声で応えるオーディエンスに「嘘つき」と呟き、hide「DOUBT」のカバーを披露。hideへのリスペクトをひしひしと感じる渾身の歌と演奏で魅了した4人は、「20年前、関西の名もなきバンドの俺たちをhideさんが見出してくれました」とhideとの思い出を語る。「hideさんが光をくれて、今も刺し続けてくれてます。hideさんがくれた、全ての奇跡に感謝します」と感謝の気持ちを告げると、<サヨナラ愛しい人よ また会えるその日まで>と「GALAXY」を気持ちいっぱいに熱唱。名もなきバンドだった4人の現在の姿は、実にたくましく勇ましかった。
defspiral
「hideと魂のセッションしに来たんだよ、付き合ってくれねぇか?」と、森重樹一(Vo)がオーディエンスに語りかけて始まったZIGGYは、「あいつがやったことと、俺たちがやり続けること。きっと意味があると思います」と同じ時代を駆け抜けた仲間としてメッセージを送り、最新曲「TEENAGE LUST」でライブが始まる。「聴かせてやるよ、最高のロックンロール!」と始まり、イントロに歓声が上がった「I'M GETTIN' BLUE」で大いに沸かすと、「セッションするから、天国のhideに届くように拳振り上げてくんない?」と空高く拳を上げ、「ピンクスパイダー」を熱唱。hideのぬいぐるみを抱き、ステージでのセッションを実現した森重は満足そうな笑顔を浮かべ、「Xと対バンしてた頃からやってます」と、代表曲「GLORIA」を披露。オーディエンスの大合唱が会場に一体感を生むと、「この瞬間がずっと大事。死ぬまで歌い続けていきたい」と力強く宣言した。
ZIGGY
SE「Battle Without Honor Or Humanity」に大歓声が起き、ステージに登場した布袋寅泰。SEに生演奏を重ね、大興奮するオーディエンスに「スリル」、「POISON」、「BE MY BABY」とヒットナンバーを叩き込むと、圧倒的なギタープレイと重厚なバンドサウンドが最高潮の盛り上がりを生む。「20年ぶりにhideくんに会うようなドキドキした気持ちです。天国に真っ直ぐ繋がってる空の下、一緒に過ごせるのを嬉しく思います」と喜びを語った布袋は、hideとの関係性、アルバム『GUITARHYTHM』をすごく気に入ってくれたことを懐かしそうに語り、「hideちゃんに、今も変わらない気持ちでギターをかき鳴らしてることを見て欲しい」と、新曲「Paradox」、「ヒトコト」を披露。さらに「知ってる人がいたら一緒に歌って」と始まった「NO.NEW YORK」で熱狂を生み、「hideちゃんと弾きたいと思って、特別なギターを作ってもらいました」とhideの愛器・MG-XにGUITARHYTHM柄をペイントしたギターを背負い、hide with Spread Beaver「ROCKET DIVE」をカバー。大興奮するオーディエンスの熱気と拍手に包まれながら、布袋はステージを後にした。
布袋寅泰
残すはhide with Spread Beaverのみとなった夕刻。僕は2日間に見た、たくさんの奇跡みたいな瞬間を振り返っていた。どの出演者も「hideに見て欲しい」と最高のライブを見せてくれたのはもちろん、hideへの特別な想いを表現した+αの演出があって。それがこのイベントを他にないスペシャルなものにしていたし、たくさんの奇跡みたいな瞬間を生んでいた。そうか、hideが残した遺志とスピリッツをそれぞれの解釈で受け止めて、ステージで表現した+αの部分。それが多くの出演者が口にしていた「hideとセッションする」ということだったのだ。きっと肉体的には存在しないhideの魂が、この会場には確実にあって。出演者がhideの魂とセッションした時、奇跡みたいな瞬間が生まれたのだろう。hideの生のステージを見ることは叶わなかったが、この2日間で様々なアーティストを介して遺志やスピリッツを感じることが出来て、そこにhideがいるような体験が出来たことを僕は改めて嬉しく感じた。
2日間に渡るお祭り騒ぎもいよいよラスト。最後は全編に渡ってhideの魂とのセッションを見せる、hide with Spread Beaverの登場。初日同様、「A STORY」をBGMにhideのメモリアル映像から始まったこの日。SE「PSYENCE」で登場したメンバーが、ステージ中央に鎮座するhideのイエローハートのギターにも目配せで確認。1曲目「POSE」で、2日目の幕が上がる。突き上げるビートの「BACTERIA」にオーディエンスが声を合わせると、「お客さん、やっちゃってくださいな!」とさらに煽るスクリーン上のhide。「FLAME」では、DIE(Key)のピアノにhideの歌声が重なり、PATA(Gt)がステージに登場。曲中に壮大なバンド演奏へと変わる展開で魅了し、演奏後にはオーディエンスから大きな拍手が起きる。
hide with Spread Beaver
初日と全く異なる構成や演出で、多面的な魅力を見せてくれたhide with Spread Beaver。初日にも思ったことだが、スクリーンに映るhideの姿や楽曲が、20年経った今も全く色褪せて見えないことに驚かされる。バンドに関してはその間もキャリアやスキルを重ね、演奏やアレンジも進化しているのだろうと納得出来るが。当時を知らない若い子にも響き、影響を与え続けている楽曲たちや、スクリーンの中でキラキラと輝くhideの姿が全く色褪せて見えないことに関しては、hideが鋭い感性とポップセンスで、時代や流行りも超越した普遍的かつ、最先端の表現をしていたとしか説明がつかない。
若いミュージシャンにも多大な影響を与えた「ピンクスパイダー」、冷静な視点で時代を見た歌詞が今も風化することのない「DOUBT」と続き、空に見える美しい満月がスクリーンに映る中、披露されたのは「EYES LOVE YOU」。DIEのピアノに乗せて、高らかに歌いあげるhide。美しいメロディもギターを弾く色気ある姿も、全く風化することなくスクリーンの中で輝いていた。
「DICE」、「OBLAAT」と続き、hideとの残り少ない時間を思い切り楽しむメンバー。「OBLAAT」ではK.A.Z(Gt)が花道を駆け回り、I.N.A.(Com&Per)がラケットでカラーボールを客席に打ちこみ、遊び足りないオーディエンスと一緒に大騒ぎ! メンバー紹介では、CHIROLYN(Ba)が即興ソングで沸かせると、KIYOSHI(Gt)が「hide、いるか? 俺たちの中、みんなの中にhideがいるから。これからもロックンロールしていこうぜ。hide、行くぞ!」と熱く叫び、「ever free」を披露。たっぷり気持ちを込めたSpread Beaverの演奏に、スクリーンの中のhideが微笑んだ。
「次で最後の曲です。こんな最高なイベントができて、こいつぁ幸せ者だぞ、hide!」とCHIROLYNが語りかけ、hideの曲紹介で始まったのは「TELL ME」。オーディエンスは最高だった2日間を振り返ったり、hideのことを想ったりと、それぞれの想いで歌と演奏を噛みしめる。すると演奏後、「なんかこれで終わるの寂しいな!」とCHIROLYN。「もう1曲やっちゃう? もう1曲くらいやってもバチ当たんねぇだろ。全員でぶっといロケット打ち上げようぜ!」と叫び、始まった曲は2日間を締めくくる本当のラストナンバー「ROCKET DIVE」。全身全霊の演奏とオーディエンスの熱狂で、最高潮の盛り上がりを見せる中、hide 20th memorial SUPER LIVE「SPIRITS」は幕を閉じた。
hide with Spread Beaver
SE「HURRY GO ROUND」が流れる中、手を繋いで万歳するメンバー。スクリーンには、はにかんだ顔のhideが映る。拍手が鳴り止まない会場、湧き上がる多幸感。来年、再来年、そしてその先もこの季節を迎えた時、5月2日の命日にhideを想うだけでなく、すぐ近くにhideを感じることが出来た、この2日間を思い出すことが出来るのが、本当に嬉しい。
hide with Spread Beaver
TEXT/フジジュン
PHOTO/緒車寿一、田中和子
M1
break
M2
RECKLESS
M3
Go Charge
M4
NOWHERE
M5
Feel Your Blaze
M6
TONIGHT
M7
FLAME
SE
Be My Baby
M1
デリケートにキスして
M2
スウィンギン・ニッポン
M3
ジゴロ13
MC
M4
ROCKET DIVE
M5
One Night Carnival
MC
M6
One Night Carnival 2018
M7
MY WAY
SE
Love Balladは歌えない
SE
TO THE GALAXY
M1
AURORA
M2
PULSE
M3
DOUBT
M4
LABYRINTH
MC
M5
SILVER ARROW
M6
GALAXY
M1
TEENAGE LUST
M2
I'M GETTIN' BLUE
M3
踊らされたくないのなら
MC
M4
君の笑顔より美しい花を知らない
M5
ピンクスパイダー
MC
M6
GLORIA
M7
EASTSIDE WESTSIDE
M8
STAY GOLD
M1
Battle Without Honor Or Humanity
M2
スリル
M3
POISON
M4
BE MY BABY
MC
M5
Paradox
MC
M6
ヒトコト
M7
NO.NEW YORK
M8
バンビーナ
MC
M9
ROCKET DIVE
映像
A STORY
SE
PSYENCE
M1
POSE
M2
BACTERIA
MC(hide)
M3
BEAUTY & STUPID
M4
FLAME~PATA登場
MC(CHIROLYN)
M5
ピンクスパイダー
M6
DOUBT
M7
EYES LOVE YOU
M8
DICE
MC(hide)
M9
OBLAAT
MC(KIYOSHI)
M10
everfree
MC(CHIROLYN)
M11
TELL ME
MC(CHIROLYN)
M12
ROCKET DIVE
SE
HURRY GO ROUND
JUNK STORY